NEWS / INFOMATION
NEW ARRIVALS
BEST NEW ALBUM
FYEAR / S.T.
Moor Motherとblack midiがコラボった様な”Pt I Trajectory”を聴いた時の衝撃たるや。作曲家のジェイソン・シャープと詩人のカイエ・ケローを中心に、8名(以上)にも及ぶ鬼才達によって編み出されたFyearのデビュー・アルバム。ドローン、ジャズ、アンビエント、メタル、ポスト・ハードコア、アヴァン・ロックを縦横無尽に融合させた、完成そのものが奇跡の様な作品で、不穏なデザイン、アートワークの時点でもうトリハダ。タイトルからも非常にコンセプチュアルな作品である事は明らかで、ここには戦争、移民、経済格差、分断など、過去、現在、そしてそれらが未来へと連鎖して巻き起こるポリクライシス、グローバリズムに対する警鐘の意が多分に込められている。何度も言いますが黒煙で覆われた不穏なフロントスリーヴ、そして高名なグラフィック・アーティストであるケヴィン・ユエン・キット・ローが手掛けたチビりそうになる程かっちょいいインサートが封入されており思わず「フィジカル最高!」と叫んで只今リピートしまくってます。180g重量盤、DLコード付きのマスト盤。
BEST NEW ALBUM
DRAHLA / ANGELTAPE
大変な衝撃であった2019年のデビューアルバム『Useless Coordinates』に「紅一点のvo. Luciel Brownが未来のパンクスターになる日は今そこにある」と書いたが全くもって間違っていなかった、リーズ発、トリオからカルテットに生まれ変わったDrahlaの2ndアルバム。とにかくこのアルバム「引くほどカッコいい」としか言い様が無いのだが、新メンバーにユアン(Gt)が加わったことでギターアンサンブルがより実験的かつカオティックに、360度どこから殴られるか全く判らない様な感覚にすら陥る。ともかくリード"Second Rhythm"を聴いた時から私即Buyは確定していたが、彼等の5年ぶりのこの新作を聴いて「バンドってほんと面白いな」と独り言ちざるを得ませんでした限定カラーヴァイナル。
BEST NEW ALBUM
FABIANA PALLADINO / S.T.
初期デモ"BTSTU"とそれに続く"Jasmine"が2010年代のアンダーグラウンドだけでなく、今日まで続くメインストリームのポップミュージックにも影響を与えた(Dijonもその影響を強く公言)神童Jai Paul。その兄であるA. K. Paulの始動したレーベル〈Paul Institute〉、からアルバムがリリースされるのは初。レーベルの巫女Fabiana Palladinoのデビュー・アルバム。当初もっと変なアルバムになるかと思ってたけど、何じゃこりゃ、80年代のポップス(Janet Jackson)、90年代のR&B (Sade)をモダンアップデートしためちゃくちゃメロウなポップアルバムではないか。そしてここまで普遍的かつ強く響くのは、楽曲、パートに不確かさ、優柔不断さを感じさせるものが何もなく、彼女のイメージが寸分狂わず完璧に「音楽」として形を成しているからであろう。2024年最高のデビュー・アルバム、と呼ぶには時期尚早かもしれないが、間違いなくレースにエントリーされるであろう限定カラーヴァイナル。