NEWS / INFOMATION
NEW ARRIVALS
BEST NEW ALBUM
FAT WHITE FAMILY / FORGIVENESS IS YOURS
これまたとんでもないアルバム、もはや彼等の「遺書」ともいえるのかもしれない怪作が誕生してしまったサウスロンドンのドープロックスターFat White Familyの最新作。1曲目の"The Archivist"のスポークンに始まり、暴力的なまでに流し込まれるリリックの圧倒的な分量、”Today You Become Man”に明らかな様に、今作はかつてない程に「詩」にフォーカスされたアルバムである。これには作家、エッセイストとして名を馳せたブレインLias Saoudiの文学的野心のエクスプロージョンであり、代償として初期メンバーSaul Adamczewskiの脱退というキズを追ってでも尚到達せねばならなかったいわく付きの作品ともいえる。音楽的にいえば過去イチメインストリームから遠ざかった訳だが(終始Alan Vegaの亡霊がちらつく)、自己満足に反発し、内なる敵を探し求めもがく彼等のアーティストシップにはもはや言葉を失う。このアルバムが運命共同であるFat White Familyの「遺書」だったとしてもそれはそれで納得がいくではないかの限定盤。
BEST NEW ALBUM
CHANEL BEADS / YOUR DAY WILL COME
4月の大本命着。ニューヨークを拠点とするShane Laversによる実験的ポッププロジェクトChanel Beadsのデビューアルバム。「印象主義」的なアートワークに加え、実態、輪郭のぼやけたヴォーカル、アンビエントにも接近したポストモダンなプロダクション、がミックスされた異色の今作ははっきりいってどこか居心地が悪い。だがその定義不可能な余白にこそこのアルバムの素晴らしさがあり、こちらの想像力、見える風景を拡張してくれる。Caleb Landry Jonesから『Sgt Pepper's』を取り上げて、代わりに『Pet Sounds』を与えたら坂本龍一の亡霊がプロデュ―スに名乗り出た、様な、何言ってるか判りませんが私的偏愛大傑作。